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逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり
契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは
恋すてふ 我が名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか
忍ぶれど 色に出にけり 我が恋は ものや思ふと 人の問ふまで
朝茅生の 小野の篠原 忍ぶれど あまりてなどか 人の恋しき
忘らるる 身をば思はず ちかひてし 人の命の 惜しくもあるかな
白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ
人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける