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いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に 匂ひぬるかな
大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立
やすらはで 寝なましものを さ夜更けて かたぶくまでの 月を見しかな
有馬山 猪名の篠原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする
めぐり逢ひて 見しやそれとも 分かぬ間に 雲隠れにし 夜半の月影
あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの 逢うこともがな
滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ
忘れじの ゆく末までは かたければ 今日を限りの 命ともがな
嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る