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たち分かれ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む
君がため 春の野に出でて 若菜摘む 我が衣手に 雪は降りつつ
陸奥の しのぶもぢずり たれゆえに 乱れそめにし われならなくに
筑波嶺の 峰より落つる みなの川 恋ぞ積もりて 淵となりぬる
天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ 乙女の姿 しばしとどめむ
わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣り船
これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも あふ坂の関
花の色は 移りにけりな いたづらに 我が身世にふる ながめせしまに
我が庵は 都の辰巳 しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなり