52 - 明けぬれば 百人一写
明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな
明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな
かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを
風をいたみ 岩打つ波の おのれのみ くだけてものを 思ふころかな
八重むぐら 茂れる宿の 寂しきに 人こそ見えね 秋は来にけり
由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな
あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな
逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし