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由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな
あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな
逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし
逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり
契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは
恋すてふ 我が名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか